ーーカランカラン。

唯花ちゃんがドアベルが付いている扉を開けて、私も恐る恐る中に入ると、同時にコーヒーの匂いが香ってきた。

「いらっしゃいま……って、なんでお前らが来るんだよ?」

たまたま入り口近くのテーブルを後片付けしていた楓くんが私たちに気付いた。

「いいじゃん! ちょうど暇だったし、さっき小春ちゃんと会ってさ、それなら一緒に葉山くんを驚かそうと思って」

「来るなら来るって連絡してよ」

「連絡したら、葉山くんを驚かす意味なくなるじゃん」

「はぁ……まったく」

唯花ちゃんの言葉に、楓くんは深い溜め息をこぼした。

ここは、楓くんがバイトしている喫茶店。

前から行ってみたいと思っていたけれど、1人で行く勇気がなくてなかなか行けずにいたのだ。

それで、唯花ちゃんと一緒なら……!と思い、今に至る。