あれから一週間が過ぎた。
 どこからか報告を受けたのか、王妃様の妃教育は無茶振りと呼べるようになってきた。

「今日からはこの書類を片付けてもらうわ。未来の王妃としてこれくらいこなせないようでは認められないの。わかるわね?」
「はい、承知しました。処理をするのに時間がかかると思うので、私室で作業してもよろしいでしょうか?」
「そうねえ、ここで貴女の顔を見ていても気分が悪くなるし、好きにしていいわ」
「ありがとうございます」

 目の前に積み上げられた書類は、木箱三つ分になる。侍女や騎士たちに手伝ってもらうのを許されなかったので、三往復して部屋の外まで運び出した。

「王妃様、それでは失礼いたします」

 そう言ってカーテシーをして、すぐにバハムートを呼び出して運ぶのを手伝ってもらう。木箱を風魔法で運んでもらっているが、バハムートが難しい顔をしている。

《ラティシア。また意地悪をされておるのか》
「うーん、妃教育だと聞いているのだけど」
《難儀だな……》
「まあ、これくらいなら治癒室よりマシだから大丈夫よ」