一度私室へ戻り、簡易的なワンピースに着替える。季節は秋も半ばを迎え、空中散歩するには肌寒い時期だからショートローブを羽織った。
バハムートは私とフィル様を乗せられる大きさになるため、王族しか入れない庭園で待っている。これはフィル様がバハムートのために用意した乗降場だ。
足早で乗降場へ向かうとすでにフィル様はバハムートの背中に乗っていた。
「ラティ、おいで」
優しく微笑むフィル様の手を取り、バハムートに乗って空へ舞い上がる。大きく羽ばたく翼は上空の風を捉えてさらに高度を上げた。
青く澄んだ空と薄く広がるすじ雲が視界いっぱいに広がる。頬に当たる風は地上よりも冷たいけれど、バハムートの風魔法によって軽減されているのでそれほど寒さを感じない。
地平線にはうっすらと山影があり、眼下には紅く色づく山肌が流れていく。この季節ならではの彩りを楽しんでいると、フィル様が重々しく口を開いた。
「ラティ」
「はい、なんでしょうか?」
「王妃にラティの教師に着任するよう王命が下された」
「そうですか。王命なら仕方ありませんね。認めてもらえるよう頑張ります」
このことを伝えたくて、フィル様は政務を切り上げて散歩に連れ出してくれたのだろうか? それにしては少々大袈裟な気がする。
バハムートは私とフィル様を乗せられる大きさになるため、王族しか入れない庭園で待っている。これはフィル様がバハムートのために用意した乗降場だ。
足早で乗降場へ向かうとすでにフィル様はバハムートの背中に乗っていた。
「ラティ、おいで」
優しく微笑むフィル様の手を取り、バハムートに乗って空へ舞い上がる。大きく羽ばたく翼は上空の風を捉えてさらに高度を上げた。
青く澄んだ空と薄く広がるすじ雲が視界いっぱいに広がる。頬に当たる風は地上よりも冷たいけれど、バハムートの風魔法によって軽減されているのでそれほど寒さを感じない。
地平線にはうっすらと山影があり、眼下には紅く色づく山肌が流れていく。この季節ならではの彩りを楽しんでいると、フィル様が重々しく口を開いた。
「ラティ」
「はい、なんでしょうか?」
「王妃にラティの教師に着任するよう王命が下された」
「そうですか。王命なら仕方ありませんね。認めてもらえるよう頑張ります」
このことを伝えたくて、フィル様は政務を切り上げて散歩に連れ出してくれたのだろうか? それにしては少々大袈裟な気がする。



