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 ブリジットはフィルレスの婚約者候補だと発表してから十日後のことだった。わしは国王の執務室で右腕の宰相から突拍子もない話をされた。

「ユニコーンと主従契約を結ぶだと?」
「さようでございます、陛下」

 聖女が連れていたユニコーンと太陽の創世神の末裔であるわしが、主従契約を結べるというのだ。

「しかし容易なことでなかろう。そもそも方法はわかっておるのか?」
「はい、古文書解読の担当者の話では、幻獣との間で合意があれば主従契約は結ばれると申しております。そうすれば主人(あるじ)に絶対服従となりますので、陛下の思いのままにユニコーンを操れるでしょう。さらに契約を交わした幻獣は神獣へと進化し、さらなる力を解放できるそうです」

 宰相の言葉にわしは(うな)った。

 確かにユニコーンを自分の思う通りに動かせたら、もっと確実にあの化け物に対抗できるだろう。しかしひとつだけ気掛かりなことがあった。

「聖女の浄化作業には影響ないのか?」
「はい、それも確認が済んでおります。特に影響はないようです」
「なるほど……それなら試す価値はあるな」

 聖女ブリジットが今と同じように浄化ができるなら、いざという時にわしの命令に従う幻獣を用意しておけば安心だ。

「ふむ、では聖女を呼び出せ。ユニコーンと契約するぞ」
「かしこまりました」