「あの……ごめんなさい。おかしなことを言ってしまったかしら」
「はっ! いえいえ、滅相もございません! むしろ逆です。私どもはこれが仕事ですし、まさかこんな風にお礼を言われるなんて思ってなくて……」
「そうなのですか? いつも食事のたびに感謝しております。これからもよろしくお願いしますね」

 そう言って笑顔を浮かべると、なんとコック長が滝のような涙を流し始めた。

「ラティシア様! 私は、私はこれからも貴女様のために、全身全霊で食事を作り続けます!!」
「あ、ありがとうございます……」

 なんだか大袈裟なきもしたけれど、感謝の気持ちが伝わったようでホッと胸を撫で下ろした。
 コックたちの笑顔に別れを告げて、昼食の時間なので食堂へと向かった。