「ラティ、大丈夫? なにをされたの?」
「いえ、特になにもされていません。それよりよく幻獣ユニコーンの結界を壊せましたね」
「幻獣ユニコーン?」
「はい、すぐに消えてしまいましたが、ブリジット様に寄り添うように現れました」
「なるほど、ユニコーンねえ……」

 スッと碧眼を細めたフィル様は楽しそうな笑みを浮かべる。どうやらまた腹黒いことを考えているようで、そのあとはずっと機嫌がよさそうだ。

 フィル様の国議も終わったので、そのまま食堂に向かって昼食をとることになった。いつもの席に座ろうとしたら、フィル様に声をかけられる。

「ラティ。座るのはそこじゃないよね?」
「え? いつもこの席ですが」
「…………」

 フィル様に視線を向けると、両手を広げてニコニコと笑い膝の上に座れと無言の圧をかけてきた。

「今朝は毒物チェックもできなかったから、ラティが足りない」
「……わかりました」

 私が寝込んでいる間、とても心配をかけたのはわかっている。目覚めた時にフィル様は少しやつれていて目の下にくまもできていた。だから毒に関しては強く断れない。

 フィル様の引き締まった太ももに腰を下ろすと、即座に私の腰はガッチリと抱え込まれた。