そう……なの? ブリジット様もあの判定試験を受けるの?
 もし合格したら、フィル様の婚約者は聖女で侯爵令嬢のブリジット様になってしまうの?

 不安に駆られてフィル様を見上げるけれど、凍てつく視線をブリジット様に向けている。

「ラティより優秀な成績を収めない限り合格はないよ。そしてそれはそんなに簡単なことじゃない」
「幸いわたしは大地の神のご加護を受けておりますし、助けてくださる方もたくさんおります。ラティシア様のように治癒魔法しか使えず血筋に不安があると、反対意見が出ることもございません」 

 ブリジット様の言葉にジクリと胸が痛む。

 確かに私は治癒魔法しか使えない。でも、今はまだ私がフィル様の婚約者なのだ。ふたりのやり取りを聞きたくなくて、強引に話に割り込んだ。

「ブリジット様、ここは診察室です。受診されないのならお引き取りください。他の患者様のご迷惑になります」
「そうですわね、お邪魔いたしました。フィルレス様、後で改めてご挨拶に伺いますわ。では失礼いたします」

 儚げな微笑みを浮かべて、ブリジット様はやっと診察室から去っていった。