そんなやりとりをしていると、突如「バキンッ」となにかが折れた音がした。その直後バキバキバキッと結界にヒビが入り、粉々に砕け散っていく。


「ねえ、なにをしているの?」


 全身の毛が逆立つような鋭利で冷たい殺気が室内に充満する。
 すでにユニコーンの姿はなく、ブリジット様は真っ青な顔で身動きできなくなっていた。

 コツコツとゆっくりと響く足音が私の隣で止まり、いつものように優しく私を抱き寄せる。

「お前、僕のラティになにをした?」

 フィル様の空のように青い瞳は、冷酷無慈悲な光を孕みブリジット様を見つめた。