* * *
「本日はご指名で診察されたいと伺いましたが、不調なところはどちらですか?」
「ごめんなさい、どうしてもラティシア様とふたりきりで話したかったのです。それにいつまでも勘違いされているのはお可哀想で……」
私はあくまでも冷静に言葉を返した。フィル様からなにも話を聞いていないし、書面でも婚約者になったとサインを交わしている。
国王陛下にも認めてもらっているはずなのに、聖女と名乗るブリジット様の言い分が正しいのか今の私には判断できない。
「今日は治癒士としてここにおりますので、ブリジット様が診察を受けられないのでしたら失礼いたします」
「まあ、困ったわ。わたしは話をしたいので、少しお付き合いくださいませ。ユニコーン」
ブリジット様の言葉で先ほどから視界の中でチラついては消えていた銀色の影が、シャランと音を立てて七色の光を放ち、実態となって姿を現した。
銀色の躯体は淡く発光し、シルバーの瞳が私を見つめていた。額からは螺旋状の角が生え、真っ直ぐに伸びている。それは大地の神と一緒に神話に登場する聖女を守る幻獣の姿だ。
「本日はご指名で診察されたいと伺いましたが、不調なところはどちらですか?」
「ごめんなさい、どうしてもラティシア様とふたりきりで話したかったのです。それにいつまでも勘違いされているのはお可哀想で……」
私はあくまでも冷静に言葉を返した。フィル様からなにも話を聞いていないし、書面でも婚約者になったとサインを交わしている。
国王陛下にも認めてもらっているはずなのに、聖女と名乗るブリジット様の言い分が正しいのか今の私には判断できない。
「今日は治癒士としてここにおりますので、ブリジット様が診察を受けられないのでしたら失礼いたします」
「まあ、困ったわ。わたしは話をしたいので、少しお付き合いくださいませ。ユニコーン」
ブリジット様の言葉で先ほどから視界の中でチラついては消えていた銀色の影が、シャランと音を立てて七色の光を放ち、実態となって姿を現した。
銀色の躯体は淡く発光し、シルバーの瞳が私を見つめていた。額からは螺旋状の角が生え、真っ直ぐに伸びている。それは大地の神と一緒に神話に登場する聖女を守る幻獣の姿だ。



