「すでに三大公爵にも認められたラティシアを婚約者から外すのなら、彼女以上の逸材だと証明できるのですか?」
「うむ、同じように試験を受けさせ判定してもらうつもりだ。判定員は公平を期して前回と別の人員を選定する」
「そうですか」

 呆れて言葉が続かない。本当に公平を期すというなら、前回と同じ審判(ジャッジ)にするべきだ。それにすでに三大公爵はラティを未来の王妃としても認めている。

 どう足掻いても無理だと思うけど、僕の動きを悟らせたくないし目眩しにはちょうどいいか。グレイとシアンもそろそろ情報を持ってくる頃だし、ラティには事前に話しておこう。

「まあ、ラティシアはしっかりと試験もパスしたので、試験に落ちた時点で婚約者候補から落選ということでよろしいですね?」
「当然だ。聖女ブリジットならそれくらい余裕であろう」
「では、ラティシアと同じか、それ以上の成果を上げてください。それができなければ試験を合格したと言えないでしょう」
「……よかろう。それで進めるよう手配する」

 自ら首を絞めていると気付かない国王は、ブリジットが簡単に合格できると信じて疑わない。それならもう少しだけこちらの都合のいいように誘導しておこう。