「よほど緊急なのかしら……いいわ。私が診察するわね」
「ありがとうございます! 患者様はこちらです」
ユーリに案内されて、高貴なご令嬢やご婦人が診察を受けるための専用診察室へ入る。これは高貴な方へ配慮した結果、隔離した空間が必要ということで用意された部屋で防音性も高くプライバシーがしっかりと確保されていた。
「失礼いたします。私がラティシア・カールセンです。ご指名と伺いまいりました」
声かけの後に診察室へ入ると、ライトブラウンの髪をくるくると指に巻きつけ、つまらなさそうに頬杖をついた女性が椅子に座っていた。
真紅の瞳を私に向けて口を開く。
「貴女がラティシア様ね? わたしは大地の神に認められた聖女ブリジット・オズバーンです。本日はフィルレス様の婚約者候補になったのでご挨拶にきました。もし婚約者を交代することになった際は引き継ぎをよろしくお願いいたします」
「——え?」
突然の宣言に頭がついていかない。
大地の神に認められた聖女……?
フィル様の婚約者候補になった?
婚約者を……交代する?
なにも言い返せないまま、ただ聖女だと名乗る女性をジッと見つめる。
その時、チラリと銀色のものが視界に入って消えたけれど、動揺していた私はそれがなんなのか深く考えることができなかった。
「ありがとうございます! 患者様はこちらです」
ユーリに案内されて、高貴なご令嬢やご婦人が診察を受けるための専用診察室へ入る。これは高貴な方へ配慮した結果、隔離した空間が必要ということで用意された部屋で防音性も高くプライバシーがしっかりと確保されていた。
「失礼いたします。私がラティシア・カールセンです。ご指名と伺いまいりました」
声かけの後に診察室へ入ると、ライトブラウンの髪をくるくると指に巻きつけ、つまらなさそうに頬杖をついた女性が椅子に座っていた。
真紅の瞳を私に向けて口を開く。
「貴女がラティシア様ね? わたしは大地の神に認められた聖女ブリジット・オズバーンです。本日はフィルレス様の婚約者候補になったのでご挨拶にきました。もし婚約者を交代することになった際は引き継ぎをよろしくお願いいたします」
「——え?」
突然の宣言に頭がついていかない。
大地の神に認められた聖女……?
フィル様の婚約者候補になった?
婚約者を……交代する?
なにも言い返せないまま、ただ聖女だと名乗る女性をジッと見つめる。
その時、チラリと銀色のものが視界に入って消えたけれど、動揺していた私はそれがなんなのか深く考えることができなかった。