婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

 目を開けると、ぼんやりと天井が見える。すっかり慣れ親しんだ天井を見て、ここが寝室だと理解した。きっと意識を失って誰かが運んでくれたのだろう。

 目が覚めてだんだんと意識が鮮明になってくる。部屋には朝日が差し込み、幾つも光の筋を作っていた。どれくらい眠っていたのか喉がカラカラだ。

 目が覚めても夢と同じ温もりに包まれていることに疑問を感じて、横を向くと超絶麗しいフィル様の御尊顔が目の前にあった。

 いつもの腹黒さなんて微塵も感じない、穏やかな寝顔。まつ毛は長くて、目を閉じていても整った造形と陶器のような肌が朝日を浴びて輝いて見える。

「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわっ! って、え、ラティ!?」

 近距離すぎて思わず絶叫して飛び起き、ガッチリと毛布で身を守りベッドの端まで移動した。私の叫び声でフィル様もガバッと起き上がり、とても驚いた様子でこちらを見つめている。

 どうしてフィル様が私のベッドで眠っているのか意味がわかららない。確かに私はフィル様の婚約者だけれど、さすがにこれはやりすぎではないだろうか?