婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

 その日の夜、僕はラティと一緒に夕食を済ませて食後の毒物チェックを入念にした。いつもの倍は時間をかけて、ラティの判断力を鈍らせていく。

 頬を桃色に染めて、とろんとした表情に危うく押し倒したくなったけど、グッとこらえた。

『フィル……様? い、つも、より……長い……!』
『んー、まだダメ』
『も……む、り……っ』

 アメジストの瞳が潤んで熱を孕んでいる。このまま次に進めそうだけど、そこはラティを尊重したいので鋼の意志でなんとか終わらせた。

『はあ……今日も大丈夫だったね』
『は……い』

 ラティの火照った頬にそっと指を滑らせると、それだけで愛しい婚約者の身体がピクッと震える。その反応に満足して僕は女神の許しを乞う。

『ねえ、ラティ。寝具の交換をするけど、いいかな?』
『寝具……? ね、眠れないの、ですか?』

 うまく回らない頭で僕の心配をしてくれるラティに愛しさが込み上げた。こんな僕に捕まってラティに同情さえ感じたけど、もう手離すことなんかできない。

『うん、最近特にね。だからもっとよく眠れるものに交換していいかな?』
『はい、睡眠は大切、です……』
『ふふ、ラティ。ありがとう』

 これだけ陶然としていたら、ラティはきっと覚えていないだろう。
 首尾よくラティの許可を得た僕は、国議の間に準備を済ませるようアイザックに伝えた。