婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

 ——国議の一週間前。

『フィルレス様、これを本気で進めるのですか?』

 僕が出した指示書に目を通したアイザックが、眉間に皺を寄せて尋ねてきた。

 指示書には今の寝室のベッドを国議を開催している間に、衝立を撤去しキングサイズのベッドへ交換するよう書かれている。

『うん、国議でラティに婚姻宣誓書をサインしてもらう段取りがついたから。翌日まで僕とラティも休みにしたし、もう限界だし』
『せめて結婚式まで待てませんか? これではラティシア様があまりにも……その、驚かれると思いますので』
『うわ、そんなラティもかわいいよね……もう王妃教育に切り替えているのも言った方がいいかな?』

 ここでアイザックが深いため息を吐いて項垂れる。僕が決定したことに反論する気持ちが萎えたようだ。

『王妃教育については終わってからの方がよろしいと思いますよ。その方が気が楽でしょう。でも、ラティシア様の同意なしで寝室のベッドを入れ替えるのは、いかがなものかと思います。せめて許可は取ってください』
『うーん、仕方ない。今夜聞いてみるよ』