婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

 幻獣だろうがなんだろうが、僕のラティに害をなすならこの世から消し去るだけだ。全力で殺気を向けると、ユニコーンはビクッと震え後ずさる。

《確かに、自分が毒を盛ったが……いや、すべては受け入れた己の問題だ。好きに処罰するといい》
『ふうん、潔さはあるんだ。誰かの命令か?』
《…………》
『そう。黙秘するなら僕の下僕となるしかないね』
《なっ……!》

 ユニコーンは驚き抵抗したけど、僕の魔力で押さえ込んで強引に主従契約を結んだ。

 神の使いである幻獣だとしても、圧倒的な力を前になす術はない。契約を結んだ証となる金色の光にユニコーンが包まれると、翼が生えて瞳は僕と同じ空色に変化していった。

《このような力技で……!?》
『さあ、これで主人である僕に絶対服従だ。まあ、聖女のようにユニコーンのプライドを傷つける命令はしないから安心して』

 僕の言葉にユニコーンが目を見開く。

 資料にもあったけど、ユニコーンは高潔でプライドが高い。聖女が命令していたのだとしても、裏切りたくないのだろうと想像はついていた。