今までのようになにも言われないのは、妻として信用してもらえてないみたいで悲しい。フィル様は政治的手腕も優れているし、私が出しゃばることはないけれど。

「うん、そうだね。もう隠し事はしないし、あらかじめ話をするよ」
「では今現在、隠し事はありませんか?」
「……サプライズは隠し事になるのかな?」
「そ……んぐ!」

 私が口を開いたタイミングで、フィル様がベイリーマスカットを放り込んでくる。甘く爽やかな果汁が口の中で広がり、思わず瑞々しい果肉を味わって喉の奥へ流し込んだ。

「も……はむっ!」

 今度はひと口大にカットされたオレンジ色のメロンが口中へ入ってきて、品のある極上の甘さに夢中になった。

 ダメだ、このままでは餌付けされてうやむやにされてしまう。私は口を開くのをやめて、フィル様の空色の瞳をジッと見つめた。

「…………」
「ラティ、サプライズは事前に話したらサプライズにならないでしょう? だからこれだけは許可してくれないかな?」

 私の視線を悠々と受け止めて、フィル様はもっともなことを言う。