日を改めて残った貴族たちで人材の調整などを話し合い、ヒューデント王国は新しい体制で運用を始めた。

 フィル様は国王として政治を中心に辣腕を振い、アイザック様は宰相として任命された。アルテミオ様は統括騎士団長として軍事を管理することになり、いずれも納得の人事だ。

 フィル様の手足となって動いていた諜報員たちは、そのまま王家の影として活動を続けるらしい。なぜかフィル様が接触させたくないようで、女性の諜報員以外は存在さえ教えてもらえない。

 シアンとグレイという男性の諜報員は、ルノルマン公爵のお茶会以来、見かけることすらなかった。

 それから私は王太子妃の教育しか受けていないと思っていたのだが、ある日の朝食でフィル様がそれはもう素晴らしい笑顔でこう言った。

「そういえばラティ、王妃教育のカリキュラムはすべて終わったみたいだね」
「……は? 今なんて?」
「王妃教育のカリキュラムが終わったって言ったけど?」

 いやいやいや、ちょっと待って。私が受けていたのは王太子妃の教育ではなかったのか?

 確かに貴族令嬢として受けた教育よりも、かなりグレードアップしていたし覚えることが多くて大変だったけど!!