神竜と神獣たちを従えたフィル様は、会議室の貴族たちへ視線を向ける。その姿は凛々しく、美しく神々しい。誰も彼も視線が逸らすことができなかった。

「今回の出来事はこのヒューデント王国にとって、非常に残念な結果をもたらした。国家のトップである国王陛下が卑怯な手段を使い、僕が愛してやまない婚約者を排除しようとした。僕はこれを決して許すことができない」

 一身に注目を浴びるフィル様が私を見つめる。その瞳はあまりに真っ直ぐで、愛に満ちていて、私の心を鷲掴(わしづか)みにした。

「ラティ、君は許せる?」

 フィル様の問いかけに言葉が詰まる。

 許せるのか?

 毒を盛られたことを。私を排除するために冤罪をかけられそうになったことを。婚約者にふさわしくないと糾弾されたことを。

 フィル様から引き離されそうになったことを——

 私はいつも自分より他者を優先してきた。それを後悔していないし、それで喜んでくれる人がたくさんいたから励みにもなっていた。

 でもフィル様と出会って私は変わった。淑女としてふさわしくないとわかっていても激しい嫉妬を抑えられなかったし、どんなことをしてもフィル様の隣にいたいと思った。