婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

 私もここで初めて聞いたこともあって、フィル様がいつからどんな計画をしていたのかさっぱりわからない。

 よほどショックだったのか、国王陛下は血の気の引いた顔で俯き「嘘だ。こんなはずでは……」と繰り返し呟いている。

「それからユニコーン。大地の神が認めた乙女だけど、本当にあんな女でいいの?」
《今回、聖女の頼みとはいえ、月の女神の末裔に毒を盛ることになった。それがどれほど自分の誇りを傷つけることだったか……あんな屈辱はもう二度と味わいたくない。そこで大地の神へ直談判した》
「へえ。それで?」
《ブリジット・オズバーンは聖女の任を解き、新たな乙女を聖女へ任命する》

 ユニコーンの宣言でこの瞬間、ブリジット様が聖女ではなくなってしまった。でも認定試験の結果発表から茫然自失の状態で、正しく理解できているか微妙なところだ。

《大地の神が認める新たな乙女は——エルビーナ・ラ・アトランカ。正真正銘、大地の神の血を引く心清き乙女だ》

 エルビーナ様が聖女に指名された……!

 帝国に振り回されたエルビーナ様にとって、どんな展開が待っているのだろうか? 聖女に選ばれたことは納得できるが、帝国で大切に扱われ尊重されるのだろうか?
 今ではすっかり妹のようにかわいがっているエルビーナ様が、心穏やかに過ごせるようにと祈るばかりだ。