「ひとつ質問ですが、聖女である条件は大地の神に認められるということで間違いないでしょうか?」

 フィル様はそう質問しながら、公爵と審判(ジャッジ)たちが並ぶ証言台の前へ移動していく。

「そうだ、大地の神が認めて幻獣ユニコーンを従える。それが聖女だ」
「では幻獣が創世神の末裔と契約を結ぶと、神獣になるのはご存知ですね? バハムート。フェンリル。姿を見せろ」

 フィル様の呼びかけでミニマムサイズのバハムートが肩に乗り、フェンリルが足元でフィル様を守るように立った。

「ちなみに契約をした神獣は瞳の色が契約者と同じ色になります。僕の場合は青……そう言えば国王陛下も青でしたね」
「なにを言いたいのだ?」
「契約した幻獣は主人の命令には絶対服従しますが、ユニコーンは誰の命令に従うと思いますか?」

 グラントリー様に無理やり連れていかれそうになった時、フィル様は去ろうとした私を神竜ごと引き戻した。
 そして主人に命令された神竜バハムートと神獣フェンリルが、フィル様に(こうべ)を垂れて従うのを一部の貴族たちは目にいている。