オリバー様のギュッと握った拳が震えていた。どれほど悲しかったのか、どれほど悔しかったのか、防げたかもしれない被害に胸を痛めている。

「私は審判(ジャッジ)として、ブリジット・オズバーンは不合格であると宣言いたします!」

 この結果を聞いて、国王陛下は眉間に皺をよせ怒りに満ちた表情を浮かべていた。

 ブリジット様は呆然と立ちすくみ、現実を受け入れられない様子だ。力なく椅子へ座る音がやけに大きく聞こえた。

 静まり返った会議室にフィル様の冷酷な声が響く。

「ではすべて不合格なので、ブリジット・オズバーンが僕の婚約者になるのは無理ですね。国王陛下、それでよろしいですか?」
「だが……! ブリジットは聖女なのだ! ユニコーンを従える、特別な存在なのだ!」
「まだ納得できないのですか。わかりました。それでは、ここですべてを終わらせましょう」

 フィル様の言葉を不穏に感じた。

 私が婚約者にふさわしくないという意見書への反論も済んだ。ブリジット様の認定試験の結果も発表された。これで私はフィル様の婚約者としていられるはずなのに、『すべて終わらせる』とはいったいどういうことなのか。

 氷のように冷めた視線を国王陛下へ向けるフィル様へ、声をかけることができなかった。