「しかし、今回はラティシア様と比較して、ブリジット嬢が優れていなければ合格と判定できません。なぜならすでにルノルマン公爵家はラティシア様こそ未来の王妃にふさわしいと判定をしているからです」
「そこで、私メイガン・ルノルマンからもラティシア様の判定結果の詳細をお伝えします」

 なんとルノルマン公爵本人から、私の合格について講評をもらえるようだ。詳しく聞いていなかったので、少し緊張してしまう。

「ラティシア様は王都の視察では治安を悪化させていた犯罪者を見事捕まえ、孤児院においてはシスターの不正を明らかにして虐待されていた孤児たちを救い出しました。その際に当然のように治癒魔法で子供たちの傷も癒していただきました。またお茶会では、フィルレス殿下への侮辱に対し毅然と対応し、ご自身の問題も見事解決されました。さらに、王都の治安改善のための提案をフィルレス殿下のお名前で提出されるなど、謙虚な姿勢も見られました」

 そんな風に受け止めていたのかと、褒められて嬉しさと恥ずかしさが込み上げる。一瞬だけルノルマン公爵と視線が合い、優しげで柔らかな笑みを浮かべてくれた。

「以上の点を踏まえまして、私ロイス・ルノルマンの判定は——不合格といたします!」
「どうして!? 今の結果でなぜ不合格になるのよ!!」