婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

「後は……ああ、不貞の嫌疑がかけられていたね? まったくもって馬鹿馬鹿しいな」

 そうだ、この異性と不適切な関係というのはいったいなんのことだろう?
 まったく心当たりがないので、異性とは誰のことを指しているのかすらわからない。

「オズバーン侯爵が言いたかったのは、アルテミオとのことか? それともグラントリー皇太子のことか? ああ、両方だったか」
「は? なぜそこで私が出てくるのだ?」
「いや、兄上。わかっていると思うけれど、義姉上とはなにもありません」

 グラントリー様もアルテミオ様もギョッとした様子で即座に否定する。フィル様が仄暗い闇が広がる瞳で、オズバーン侯爵へ視線を向けていた。

「フィルレス様、私もまったく心当たりがございません。そもそも接点がほぼない状態ですが、どこからそのような話が出てきたのでしょう?」
「アルテミオの件は王妃の部屋から僕の執務室まで付き添った際のことを言っていて、グラントリー皇太子との件は一度お茶会に参加した時のことを言っているんだ」

 ため息まじりのフィル様の説明に私はポカンとしてしまった。