オズバーン侯爵は真っ青になって項垂れ、国王陛下も口を一文字に結んで沈黙を続けている。
 痺れを切らして口を開いたのはフィル様だった。

「まあ、言い訳しようもないですからね。その次はラティシア・カールセンが月の女神の末裔ではないと発言していたましたね。こちらについても証拠と証人を用意しています」

 フィル様から視線で促された事務官が合図を送り、新たな人物が会議室へ姿を現した。ピンクブロンドの艶髪を揺らし、翡翠の瞳は鋭く前を見据えている。

 アトランカ帝国の皇太子グラントリー様だ。彼が証人ということに合点がいった。以前イライザ様を訪問した際に、私の魔法の痕跡と見た目から、初見で月の女神の末裔だとグラントリー様は見抜いたのだ。

 グラントリー様がアイザック様の隣までやってきて宣誓する。

「私はグラントリー・ラ・アトランカ。これから発言することは、嘘偽りのない真実であると大地の神に誓います」
「ではグラントリー皇太子。ラティシア・カールセンが月の女神の末裔である根拠の提示をお願いいたします」