婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

『お前の治療はなんだ!? 全然治ってないじゃないか! わしの時間を無駄に奪って、どうしてくれるのだ!?』
『治っていない……? 恐れ入りますが一度カルテを確認いたしますので、少々お待ちいただけますか?』

 これはヘルキス子爵が治癒室へ来た時の映像だ。ヘルキス子爵はきっとこの日のために最初から映像を記録していたのだろう。

『お待たせいたしました。こちらは完治証明のサインもいただいていますので、先日の治療に関しては問題ないようでしたが……』
『なんだと!? ではなぜここに青あざがあるのだ!?』
『大変失礼いたしました。それではもう一度治療させていただきます』

 ここで一度映像が切れている。その後も同じような映像が流れ、すべて再生するとオズバーン侯爵が再び口を開いた。

「今ご覧いただいた通り、ラティシア・カールセンの治癒魔法は完璧とは程遠く、専属治癒士として勤務していることも怪しいのです!」

 確かに先ほどの映像だけ見れば、私の治癒士としての資質に疑問を持つかもしれない。こうやって冤罪が作られていくのかと、膝に乗せた手をぎゅっと握りしめた。

「続いて——」

 ここでフィル様のよく通る声が、オズバーン侯爵の声を遮る。

「意義あり」