「ラティシア様さえよろしければ、妃教育の実践の場もできますよ」
「……わかりました。それではブリジット様をこちらへ通してください」
胸に広がるモヤッとした気持ちには蓋をして、王太子妃として振る舞うことへ集中した。
すぐにブリジット様が部屋へ入ってきて、私に声をかける。
「ラティシア様、お元気そうでなによりですわ」
にっこりと笑みを浮かべて、ブリジット様が挨拶の言葉を口にした。
聖女は特別な存在とはいえ、王太子の婚約者への挨拶としては砕けすぎている。ここで言葉を返すとこの無礼な挨拶を認めたことになるので、私は微笑みを浮かべたままジッとブリジット様を見つめた。
「ちょっと、聖女のわたしが声をかけているのだから、返事くらいしなさ——」
苛立ったブリジット様を止めたのは、同席した先生だ。
「ブリジット侯爵令嬢。恐れ入りますが、ラティシア様は王太子殿下の婚約者で伯爵家の当主でございます。確かに貴女様は聖女でございますが、先程の挨拶では不敬となります」
「なっ……! わ、わかったわよ。大変失礼いたしました。ブリジット・オジバーンでございます。本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます」
「……わかりました。それではブリジット様をこちらへ通してください」
胸に広がるモヤッとした気持ちには蓋をして、王太子妃として振る舞うことへ集中した。
すぐにブリジット様が部屋へ入ってきて、私に声をかける。
「ラティシア様、お元気そうでなによりですわ」
にっこりと笑みを浮かべて、ブリジット様が挨拶の言葉を口にした。
聖女は特別な存在とはいえ、王太子の婚約者への挨拶としては砕けすぎている。ここで言葉を返すとこの無礼な挨拶を認めたことになるので、私は微笑みを浮かべたままジッとブリジット様を見つめた。
「ちょっと、聖女のわたしが声をかけているのだから、返事くらいしなさ——」
苛立ったブリジット様を止めたのは、同席した先生だ。
「ブリジット侯爵令嬢。恐れ入りますが、ラティシア様は王太子殿下の婚約者で伯爵家の当主でございます。確かに貴女様は聖女でございますが、先程の挨拶では不敬となります」
「なっ……! わ、わかったわよ。大変失礼いたしました。ブリジット・オジバーンでございます。本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます」



