「……聖女ブリジット様の父であるヘルメルト・オズバーン侯爵から命令されました」
「それだけ?」
「——国王陛下もその場にいらっしゃいました。成功した暁には我々を陞爵(しょうしゃく)してくださると、お約束いただきました」
「では次の国議には全員参加するように。それまではいつも通りに過ごせ」

 貴族たちはホッとした様子で執務室から出ていった。あいつらは勘違いしているようだが、僕は処罰しないとは言っていない。それでも満足のいく答えを聞き出せたので、国議までは処罰を保留することにした。

「アイザック、次の国議で決着をつける」
「はい、承知しました」

 アイザックが手にした映像記録の水晶を受け取り、僕は笑みを浮かべた。