婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

「……要するに、僕の婚約者を貶めるためにこんなクレームをつけたということだな?」
「いえ! そのようなことは決してございません!」
「そうです! 私たちはただ、命令されて……!」
「おい! お前、なにを口走っているのだ!?」
「へえ、命令ね。誰から?」

 犯人はすでにわかっているけれど、こいつらが僕に有利な証言をしたら後が楽だ。ラティを悲しませた罪はそれくらいでは消えないが、役に立つなら罰を軽くしてやってもいいとは思う。

「……そっ、それは」
「この場ですべて白状するなら、処罰については考慮する」

 貴族たちは互いに視線を合わせ、打ち明けるかどうか探り合っている様子だ。それなら白状しやすいように背中を押してやろう。

「首謀者はわかっているから隠しても無駄だ。嘘をつけば王家への叛逆(はんぎゃく)とみなし、神竜が天罰を下す。僕への忠誠を示すなら今しかないけど、どうする?」

 この言葉で観念した貴族たちは、重い口を開いた。