「ではひとりずつ確認しようか。まずはジョージ・ヘルキス。君は治癒を受け三日後に治癒室へ来たと書かれているけれど、なぜこんなに日数が空いているんだ?」
「それは、治ったと思っていたので怪我が残っていることに気が付かなかったのです!」
「ふうん、では質問だ。毎日入浴しているか? 着替えは使用人が手を貸すか?」
「は? はい、毎日汗を流しますし、着替えもメイドが手伝います」
「それなら三日間も脇腹の怪我に気が付かないのはおかしいね。そもそもラティの治癒魔法は全身魔法だから、脇腹だけ怪我が残るなんて考えにくい」
自分で身体を洗うにしろ、使用人に洗わせていたにしろ目につかないわけがない。
「それに、完治証明にはサインをしているけど、これはどういうこと?」
僕は事前にエリアスから受け取っていた、完治証明の複写を机の上に出した。二件目のクレームが来た時にエリアスから報告を受け、関連資料を取り寄せていたのだ。
「その時は完全に治ったと思って……」
「この完治証明には、サインをした後は治癒士のミスが明らかな場合を除き、再度治療はおこなわないと書かれている。だからサインをした時点で申し立てる権利はない」
「ですから、治療にミスがあったのです!」
「ではその物的証拠を示せ。証言のみでは不十分だ」
ヘルキス子爵は無言で歯を食いしばっている。もう言葉は出てこないようだ。
「それは、治ったと思っていたので怪我が残っていることに気が付かなかったのです!」
「ふうん、では質問だ。毎日入浴しているか? 着替えは使用人が手を貸すか?」
「は? はい、毎日汗を流しますし、着替えもメイドが手伝います」
「それなら三日間も脇腹の怪我に気が付かないのはおかしいね。そもそもラティの治癒魔法は全身魔法だから、脇腹だけ怪我が残るなんて考えにくい」
自分で身体を洗うにしろ、使用人に洗わせていたにしろ目につかないわけがない。
「それに、完治証明にはサインをしているけど、これはどういうこと?」
僕は事前にエリアスから受け取っていた、完治証明の複写を机の上に出した。二件目のクレームが来た時にエリアスから報告を受け、関連資料を取り寄せていたのだ。
「その時は完全に治ったと思って……」
「この完治証明には、サインをした後は治癒士のミスが明らかな場合を除き、再度治療はおこなわないと書かれている。だからサインをした時点で申し立てる権利はない」
「ですから、治療にミスがあったのです!」
「ではその物的証拠を示せ。証言のみでは不十分だ」
ヘルキス子爵は無言で歯を食いしばっている。もう言葉は出てこないようだ。



