「僕なら完膚なきまでの結果を出して、合格をもぎ取るけどねえ」
「聖女様の認定試験ですか? シアンから途中経過の報告書が来ています。ご覧になりますか?」
「予想はついているけど見せてもらえる?」

 アイザックから報告書を受け取り、ざっと目を通していく。

「……これ、盛ってないよね?」
「はい、ありのままを報告するよう命令しています。聖女様の実力ではその程度が妥当かと思いますが。そもそも女神の如きラティシア様と張り合うのは無理があります」

 先日ラティが疲れた様子のアイザックに治癒魔法をかけてから、さらに崇拝するようになったようだ。『アイザック様が元気な方がフィル様のためになると思います!』とラティがかわいいことを言うから許可したけど、早まったかもしれない。

 ラティが人気を得るのは嬉しくもあり、僕の独占欲を煽るものでもあり。こんな気持ちが初めてで持て余し気味になっている。

「そうだね。そもそも今回の認定試験はラティよりいい結果を出さないといけないのに、わかってないのか?」
「おそらく、通常の認定試験と同様に考えておられるのではないですか? ルノルマン公爵家もアリステル公爵家も、通常であればその程度で合格を出しますから」
「まあ、こちらが指摘することでもないし、結果は明白かな。コートデール公爵も結果報告のために出立する頃か……」