「ブリジット様は、このように無骨な屋敷は初めてですか?」
「ええ。わたしが暮らしている屋敷は、庭園に花が咲き乱れ屋敷の中には名画や貴重な芸術品を飾り、いつでも感性を磨ける環境でしたの。ですからレンガの壁の屋敷など初めて見ましたわ」
「それは申し訳ありません。そのような贅沢が許されない環境ですので、どうかご理解いただけますでしょうか?」
「仕方ありませんわね。ただ、わたしが過ごす部屋だけは、少し華やかにしていただきたいですわ」
「はい、承知いたしました」

 その後は無言のまま無骨な城を歩かされた。
 コートデール公爵へ挨拶を済ませ、今回は出迎えをしてくれたオリバー様が審判(ジャッジ)だと聞いた。

 その後部屋へ案内されたけれど、やっぱり無骨だった。テーブルに花を飾ってくれたけど、それもセンスがなくて野暮ったい。

 ここで判定試験の間を過ごすのかと思ったら、深いため息が出た。
 判定試験は魔物の討伐なので、わたしは翌朝に備えて早めに休んだ。



「ブリジット様、おはようございます。本日からよろしくお願いいたします」
「ええ、よろしくお願いいたします。では、早速魔物の討伐へ向かいましょう。わたしは火炎魔法が得意なのでお役に立てると思いますわ」

 わたしは一刻も早く王都へ戻りたかった。こんな田舎の領地で、しかもあんなむさ苦しい部屋で過ごすなんてごめんだ。