「王妃様。それなら私が毒を盛った犯人でないと証明できます」
「なんですって!?」
「テトラキシンは劇薬です。特殊な方法でしか採取されない毒であり、すべて国の管理下に置かれ不正に持ち出すのは不可能なのです。つまり毒物を管理する部門に問い合わせれば、私が手にしていないと証明できます」
「嘘よ……そんな! 嘘よ!! そんな毒を……!?」

 王妃様は信じられないという表情で、ブルブルと震え出した。専属治癒士は残念そうにため息をついて、私の説明を肯定するように言葉を続ける。

「カールセン伯爵のおっしゃることは事実です。専属治癒士といえども劇薬については徹底的に管理されていますので、誰が手にしたのか調べればすぐにわかります。これも王族の毒殺を防ぐためのシステムだったのですが……」
「なによ、そんなものどうにでもできるでしょう!」

 ここまで沈黙していたアルテミオ様が口を開いた。

「母上、残念です。せっかくご自分の命までかけたのに無駄になりましたね」
「アルテミオ……?」
「母上が自ら毒を服用し、ラティシア様に冤罪をなすりつけようとしたと明白です。こんな犯罪を犯す人間が王妃とは笑えますね」
「ちょっと、貴方……どうしたの?」