私は床に膝をついて、王妃様の身体を横に向けたまますぐに治癒魔法をかける。

癒しの光(ルナヒール)!」

 白い光が室内に広がり、王妃様を包み込んだ。魔力を込めながら治癒の手応えを感じ取る。
 やがて光が収まると王妃様の呼吸は安定して安らかな表情になった。脈も力強くすぐに目を覚ましそうだ。

「お、王妃様! 目を覚ましてください! 王妃様!」
「いったいなにがあったの!? 専属治癒士も呼んで!」

 侍女たちがバタバタと駆けずり回り騒然としている。

「おい、なにがあった? ……母上!」

 そこへやってきたのはアルテミオ様だ。床に横たわる王妃様を見て驚きの表情を浮かべている。

「アルテミオ様、王妃様とお茶を飲んでいたら突然様子がおかしくなり、倒れられたのです。治癒魔法をかけましたので、もう大丈夫です」
「倒れただと!?」

 毒物を摂取したと伝えようとしたところで、王妃様の身体がピクリと反応を示した。