婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2

「それで、他の証拠はどうなっている?」
「はい、こちらも順調に集まっております。シアンが調べた帝国の資料に、このような記載がありました。これはグラントリー皇太子より提出いただいたものですので、国王陛下でも無下にすることはできないでしょう」
「へえ、正式な書類だと明示するため国璽(こくじ)までもらっているのか。いい仕事をしてくれるね」
「ジャンヌ様と顔つなぎしたラティシア様に恩義があるのでしょう。婚約者の友人にも当たるので、かなり融通を利かせてくれたようです」

 そういえば、前にラティが嬉しそうに話していた。

 コートデール公爵の判定試験の後、三女ジャンヌと親交が深まり新しい友人ができたと喜んでいた。皇太子もすっかりおとなしくなって、伴侶を探していたから皇女あたりから頼まれたのだろう。

「まあ、予想以上に役に立ったから、ラティに手を出したのは許してもいいかな」

 でもあの皇女、今度は僕のラティを『お姉様』と呼んで馴れ馴れしいから、なんとかしたいところだ。いっそ結婚相手を見繕って、そっちに集中させたほうがいいかもしれない。

「アイザック。皇女を妻にする気はな——」
「丁重にお断りいたします」

 かなり食い気味に断られてしまった。