「フィル様……」
「うん」
「フィル様は私の婚約者です……他の女性と、あまり近づき過ぎないでください」
醜い嫉妬心がついに私の口から飛び出してしまった。こんなことで悋(りん)気(き)を起こすなんて、淑女としてみっともないことだとわかっている。
でも、私だけが許されていたのに。他の女性にそれを許してほしくなかった。
「フィル様の身体に触れていいのは私だけです……!」
「……っ!」
言ってしまった。全部吐き出してしまった。
淑女として失格だけど、もう我慢できない。専属治癒士で婚約者の私以外に、フィル様の身体にわずかでも触れてほしくないのだ。こんな嫉妬深い女だと嫌われるかもしれないけど、それでも言わずにはいられなかった。
案の定、フィル様は私に呆れてなにも言えないようだ。沈黙に耐えかねて踵を返した次の瞬間、背後からきつく抱きしめられた。
「えっ!?」
「……はー、ねえ。ラティ、今のもう一回言って」
「え? え?」
「ねえ、お願い。『触れていいのは私だけ』ってもう一回言って」
「うん」
「フィル様は私の婚約者です……他の女性と、あまり近づき過ぎないでください」
醜い嫉妬心がついに私の口から飛び出してしまった。こんなことで悋(りん)気(き)を起こすなんて、淑女としてみっともないことだとわかっている。
でも、私だけが許されていたのに。他の女性にそれを許してほしくなかった。
「フィル様の身体に触れていいのは私だけです……!」
「……っ!」
言ってしまった。全部吐き出してしまった。
淑女として失格だけど、もう我慢できない。専属治癒士で婚約者の私以外に、フィル様の身体にわずかでも触れてほしくないのだ。こんな嫉妬深い女だと嫌われるかもしれないけど、それでも言わずにはいられなかった。
案の定、フィル様は私に呆れてなにも言えないようだ。沈黙に耐えかねて踵を返した次の瞬間、背後からきつく抱きしめられた。
「えっ!?」
「……はー、ねえ。ラティ、今のもう一回言って」
「え? え?」
「ねえ、お願い。『触れていいのは私だけ』ってもう一回言って」



