「ロザリア様は素材探しの旅に出られるのですか?」
「はい、新しい魔道具の開発のために必要なのです」
「ではそちらも私がご案内いたしましょう」
「え? いえ、大丈夫です。これは新こ——」
「いえ、ぜひ私にお任せください。素材を探しながら、販路の件についても有力な貴族をご紹介いたします」

 ロザリアは困ったような顔をしながらも口を閉ざし、アレスと視線を交わしている。
 この場でロザリアを落とせなかったのは痛いが、まだチャンスはある。この素材探しの旅を使って、ロザリアを私のものにするのだ。セラフィーナにも同行させれば、より大きなチャンスが生まれるだろう。

「それでは私の方でも準備がありますので、失礼します」

 私はロザリアの返事を待たずバルコニーを後にした。
 これからの計画を父上にも相談しないといけないし、必要なら貴族たちにも協力させよう。
 この私に惚れない女などいないのだ。ロザリアは必ず私の妻にしてやる——。