捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2

 いつからロザリアはこんな風に笑うようになったのだろう。以前から美しくはあったが、どこか隙のない硬い笑みだったように思う。
 どちらにしても私がこ笑顔を引き出したのだと思うと、自尊心が満たされた。

「ロザリア、待たせた。話は進んだか?」

 そこへ忌々しいアレスが戻ってきた。
 途端にロザリアの瞳に恋情の炎が灯り、私に見せることがなかった心からの笑顔を夫に向ける。私が引き出した笑顔など上部のものだったと思い知らされ、悔しさに奥歯を噛みしめた。

「アレス! ハイレット様が帝国での販路確保に協力してくれることになったわ! それで……クライブ国王の方は大丈夫だったの?」
「ああ、あちらはもう大丈夫だ。しっかり対処してきたから、もうあんな呼び出しもないだろう」
「そう、よかったわ。それなら素材探しの旅は明日にでも出発できそうね」

 ロザリアの口から初めて聞く情報が出てきた。素材探しの旅か……この情報は使えそうだ。