「主犯はこのふたりで間違いないかしら?」
「いえ、実は旅の途中からブルリア帝国の皇帝からも命を狙われておりまして、指示を出したのは皇帝かと」
「はあ!? 命を狙われていたって、どういうこと!?」

 寝耳に水とはこのことだ。
 私の最愛が命を狙われていたなんて。瞬間的に怒りが爆発しそうになる。

「私が消えればお嬢様を手に入れられると考えたようです。黙っていて申し訳ありません。自分で対処できましたし、心配をおかけしたくなかったのです」
「そう」

 つまり主犯は皇帝、実行犯がハイレット様とクリフ様というわけね。……というかもうこんな犯罪者は呼び捨てでいいわね。敬える要素が一ミリもないもの。

 最愛の夫との間を引き離そうとしただけでなく、夫を殺そうとしたなんて……そこまで舐められていたのか。

 アステル王国で王太子妃をしていた時にだって、非情な決断が必要な時もあった。ラクテウス王国は困難な状況もなかったし、本当に素朴で温かい国民性だからそんな決断をする必要もなかった。

「だから、私にはなにをしても怒らないとでも思っているのかしら?」
「お嬢様?」