「父上、それ以上近づかないでください。お嬢様が汚れます」
「いだっ! いだだだだだだだだ!! わかったから! ハグしないから放せって!」
「竜王様……大丈夫ですか?」
「僕に優しいのはロザリアちゃんだけだ……」
涙ぐんだ竜王様がほんの少しだけ不憫に感じたけど、義母のサライア様が誰よりも竜王様に尽くして慈愛で包み込んでいると思い直した。
「ふたりで旅に出るのはかまわないけれど、ついでだからちょっとしたお使いも頼めるかな?」
「お使いですか? いったい、どのような……?」
そこで竜王様は、執務机の引き出しから、一通の封書を取り出した。裏面には鷹と杖と剣が描かれた、赤い封蝋が施されている。
「この紋章は……ブルリア帝国のものですね」
「さすがロザリアちゃんだね。その通り、これはブルリア帝国の皇帝からの親書だ」
「皇帝からの親書とは……ずいぶん好意的なことだ」
アレスが棘のある言い方をした。これは半年前、アステル王国のクライブ国王から立太子の表明パーティーに招待された時のことが影響しているのだ。
「いだっ! いだだだだだだだだ!! わかったから! ハグしないから放せって!」
「竜王様……大丈夫ですか?」
「僕に優しいのはロザリアちゃんだけだ……」
涙ぐんだ竜王様がほんの少しだけ不憫に感じたけど、義母のサライア様が誰よりも竜王様に尽くして慈愛で包み込んでいると思い直した。
「ふたりで旅に出るのはかまわないけれど、ついでだからちょっとしたお使いも頼めるかな?」
「お使いですか? いったい、どのような……?」
そこで竜王様は、執務机の引き出しから、一通の封書を取り出した。裏面には鷹と杖と剣が描かれた、赤い封蝋が施されている。
「この紋章は……ブルリア帝国のものですね」
「さすがロザリアちゃんだね。その通り、これはブルリア帝国の皇帝からの親書だ」
「皇帝からの親書とは……ずいぶん好意的なことだ」
アレスが棘のある言い方をした。これは半年前、アステル王国のクライブ国王から立太子の表明パーティーに招待された時のことが影響しているのだ。



