太陽が西の山に差しかかる頃、俺たちは小川のそばでテントを張り野営することになった。
 魔物は討伐してあるので、危険があるとしたら野生の動物くらいか。それも俺が結界を張ればよほどのことがない限り、朝までぐっすり眠れるはずだ。

 テントはふたり用なので、問答無用で俺とロザリアは一緒に寝ることになった。ちなみに、俺たちのテントにだけ防音と侵入禁止の結界も張っておいたので、プライバシーは死守されている。
 狭いテントで、俺の腕の中にすっぽりと収まるロザリアの体温が心地いい。

 俺の気が変わったのは、ロザリアが「どうしてこんな面倒なことになったのか」とこぼしてからだ。魅力的すぎるからだと言っても、謙遜するロザリアをとめたくて口づけで言葉を遮った。

「無自覚なのもいいが、俺はロザリアの素晴らしさを知っている」
「そんな……そんなに褒められると、どうしていいかわからないわ」
「照れるロザリアもかわいい」

 頬を染めるロザリアの額から頬へ、そして火照った耳へキスの嵐を落としていく。
 ロザリアへの仄暗い愛が込み上げて、あっさりと俺の理性を奪い去っていった。こんなところでロザリアを抱くのはどうかと思ったが、アイツらにロザリアが誰のものなのか思い知らせるのもいいかと思い直す。

「ロザリア、もっと俺を欲しいと言って」
「アレス……が欲しい。もっとアレスが欲しい」

 そうしてロザリアと何度も愛し合い、夜は更けていった。