「本当!? ロザリアちゃんは相変わらず天使だねえ」
「それなら私が手伝います。お嬢様はゆっくりとしていてください」
「アレス、お前って本当さ……」

 アレスと竜王様が、鬼のように処理を進めていくのを笑顔で見守った。なんだかんだ言っても、この親子は仲がいいと思う。

 それから三十分も経たずに、本日中に処理する案件をすべて片付けてしまった。予想外に仕事が早く終わり、ご機嫌の竜王様が満面の笑みを浮かべている。

「いやあ、わかっていたけど、アレスも優秀だね! 今日の仕事が全部終わったよ。これなら僕はもう引退してもいいよね?」
「なに馬鹿なことを言っているんですか。お嬢様と私の新婚生活確保のために、しばらく竜王を続けてください」
「アレス……せめて僕じゃないと竜王は務まらないとか、それくらい煽ててくれてもいいと思うけど?」
「……煽てたら死ぬまで竜王を続けてくれますか?」
「無理! その前にサラとゆっくりしたいから無理!」
「ではしばらくは頑張ってください。今日は母上とゆっくりしてもいいですから」
「ううっ……なんでこんな鬼息子に育ってしまったのか謎すぎる」

 竜王様とアレスの会話は楽しくていつまでも聞いていられそうだけど、そろそろ用件を話したい。

「それでは竜王様、私の用件をお話ししてもよろしいでしょうか?」