すぐに離れていく温もりを寂しく感じながら、太陽よりも眩しい愛しい人を見上げた。

「これで正真正銘ロザリアは俺のものだ」
「ふふ、とっくにアレスのものになっていたわ」
「では、遠慮なく《《すべて》》いただくとしよう」
「えっ! ア、アレス!?」

 軽々と私を横抱きにして、初めてこの街に来た時と同じ様に新居のある王城まで帰るつもりらしい。そのままフラワーシャワーが降り注ぐレッドカーペットを進んでいく。

「お幸せにー!」
「やっとだな! アレス様!」
「ロザリア様! 綺麗!」
「アレス様! ロザリア様! バンザーイ!」

 アレスの肩越しに振り返れば、お父様は泣いていてお母様はそれを慰めていて、セシリオは最近できた婚約者の肩を抱いていた。竜王様とサライア様も寄り添って笑っている。カイル様はジュリア様を抱き上げて満面の笑みだ。
 街の人たちは口々にお祝いの言葉を告げてくれる。
 本当はふたりきりで式を行うつもりが、お互いの家族が増え、お店のお得意様が増え、街の人が増えた。

 アレスといるだけで私の嫌な思い出はどんどん素敵な思い出に塗り替えられていく。きっとこれからもそうなんだろう。この愛しい人と共にいれば、幸せが上書きされていくのだ。





 …………基本的には。