「竜王様、この度は本当にありがとうございます!」

 どういう経緯かわからないが、王座には竜王様がご機嫌なようすで長い脚を組んで座っていた。サライア様が右側に、カイル様とジュリア様は左側に立っている。最初からこの国の王様だったのではないかというくらいの馴染みっぷりだ。
 視線をずらせば少しやつれていたけど自由になったお父様とお母様の姿も見えた。

「お父様! お母様!」
「ロザリア! ああ、すまない。お前に心配をかけてしまった」
「まあ、ひどい格好ね。ふふ、ロザリアったら仕方のない子なんだから……」

 優しく抱きしめてくれる両親の温もりに安堵してホロリと涙がこぼれ落ちる。両親との抱擁で落ち着きを取り戻し、話を進めてもらうように竜王様に視線を向けた。アレスはそっと私の隣に寄り添ってくれている。

 国王と王妃様は王座の前にひざまずいてうなだれていた。その後ろには第二王子のクライブ殿下とその妃のマリアナ様が同じように膝をついている。ウィルバート殿下はさらにその後ろに雑に転がされていた。
 中央に敷かれたレッドカーペットのサイドには近衞騎士と大臣たちが膝を折って、竜王様に敬意を示している。

「さて、それでは全員揃ったことだし決着をつけようか」