「なっ! なんだ、その武器は!? 見たことがないぞ!」
「当然ですわ。私のオリジナルですから」
「ふんっ、まあ、いい。勝つのはボクだ!」

 両手を上にかざしてどんどん魔力の塊を作っていくウィルバート殿下は得意気だった。その隙に魔道具で結界を張って不意打ちを食らわないようにする。
 対人で魔銃を使用したことがないけれど、ゴブリンやオーガに対しての効果を参考に魔力を込めた。

 銃口をウィルバート殿下に向けて引き金を引く。
 超高速で繰り出された魔弾は、ウィルバート殿下の頬を掠めて背後の壁を撃ち抜いた。

 今の攻撃によほど驚いたのか、両手にこめていた魔力は霧散している。頬は赤くなっているが血は滲んでもいない。狙い通りだし、威力の調節はうまくできたようだ。
 ウィルバート殿下はゆっくりと後ろを振り返り、魔弾の威力を確かめている。壁を撃ち抜いた様子から当たればまずいことになると理解したのか、勢いよくこちらを向いて怒鳴りつけてきた。

「そのような武器の使用は卑怯だぞ! 正々堂々と魔法で戦え!」
「まあ、それでは騎士が剣を使うのも卑怯だとおっしゃいますの? この武器は騎士にとっての剣と同じですわ」
「屁理屈を言うな! そもそもそんな武器を使うなどと言ってなかったではないか!」
「武器を使わないとも言っておりませんわ。ですが、まあ、いいでしょう」