私の脳裏に甦るのは初めて会ったあの日のことだった。
 走馬灯のように駆け巡る記憶には、いつもアレスの穏やかな夜空の瞳と深く一途な愛情があふれてる。

「————アレスが特別なの」
「うん、知ってる」
「でも、酷い内容の手紙を書いてしまったわ」
「ああ、ロザリアが俺の愛の深さを理解してないから教えに来た」

 あの手紙を読んでも、なお来てくれたと言うの?
 ああ……アレスはわかっているんだわ。
 あの手紙は私が心を押し殺して書いたものだと。そして私を変わらず信じてくれている。

「ロザリア、愛してる。早く俺のものになって」

 もう、いいわよね?
 もう、私が欲しいものを手にしてもいいわよね?

 あんなに私の人生を終わらせようと覚悟していたけど、終わらせるのは耐えるだけの人生だ。
 こんなにも私だけを愛してくれるアレスがいる。世界中の何よりも大切だと思えるアレスがいてくれる。
 ————我慢するのはもう止めだ。