お父様、お母様は私が送った手紙のせいで、今も投獄されている。
 ゆっくりと腕から力が抜けていった。

「そうだ、ようやくわかったか? お前はボクには逆らえないんだ」

 悔しい。こんなヤツに逆らえないのが悔しい。自決もできない状況で、私の意思など関係なく尊厳を踏みにじられるのが悔しい。せめてこんな男に汚される前にこの世界から消えたかった。
 堪えきれない熱い雫が頬を伝って落ちていく。

「はあ、お前の泣き顔はボクの劣情をそそるな……」

 心だけは屈しまいと血が滲むほど強く唇を噛んだ。ウィルバート殿下はクラバットを緩めながら、私の手を引いて部屋の真ん中にあるベッドに向かう。そこで私をベッドの上に投げ倒して、のしかかってきた。

「ははっ、もっと早くこうすればよかったな。お前の心が欲しいと思ったばかりに遠回りをしてしまった」

 あふれる涙はこめかみを濡らして流れ落ちる。せめてもの抵抗で、決して声を出さないと、これ以上こんな男のために心を動かさないと決めた。