「……私のことはご存じだったのですね。その、離縁されたことも、どのような妃だったのかもご存じですよね」
「確かにロザリアのことは以前から知っていたわ。アレスが番を見つけたと知らせを寄越してから、ずっと見守ってきたもの。アレスが我慢強すぎて進展しないし、むしろどうやって掻っ攫うか考えていたところだったのよ」

 かなり物騒な話で思わず私の噂を聞いていないのかと問いかける。

「え? あの、愛想もなくて誰にも愛されない妃だと聞いてないのですか?」
「え? 可憐で美しくて有能な妃を離縁して追い出したバカ王子の話しか聞いてないわ」

 サライア様の切り返しに驚いた。私の話を聞いていたなら、悪い印象を持たれていると思っていたのだ。それが逆に誉められたようで、居心地が悪いくらいだ。

「多分、他国も同様よ。特に帝国の皇子がロザリアを狙っていたから、余計に帝国軍には知られたくなかったの。不安にさせてしまったかしら? 誤解しないでね、私たちはみんなロザリアに会いたかったのよ」
「そうでしたか……そう言ってもらえて本当に嬉しいです」

 ここで思いもよらない話が聞けた。どうも私が蔑まれていたのはアステル王国の中の話だったらしい。私のことをちゃんと見てくれる人が他にもいたことに心が温かくなる。