「まあ、成人しているなら問題ないわ」
「それでしたら俺は魔法も使えるし、護衛もかねてロザリア様の専属執事として雇っていただけませんか?」
「専属執事……?」
「はい、もし俺の出自が問題だというなら提示された条件で魔法契約を結びます。奴隷契約でも構いません。専属執事の技量が足りないなら一年くだされば、すべて身につけます」

 畳み掛けるようにグイグイとくるけれど、魔法契約だの奴隷契約だの余程でなければ使わないものだ。魔力を使った契約は絶対的な強制力を持つゆえ簡単に使うものではない。

「そこまでしなくてもいいのよ、こちらにも落ち度があったのだから……」
「いえ、最初から負っていた怪我も治療していただいたのです。これで恩返しができるなら安いものです。誠心誠意ロザリア様にお仕えいたします」

 固い決意を秘めた夜空の瞳は、より一層煌めいていた。
 何を言っても引く気がないのだと視線で訴えてくる。

「……わかったわ。あなた名前は?」
「アレスと申します」
「ではアレス。これからよろしくね」

 アレスと名乗った少年はたった四ヶ月で屋敷の護衛隊長まで倒して実力を示し、執事教育を完璧にマスターした。
 こうして彼は私の専属執事になった。