○11話の続き

葉「本当に好きじゃなく付き合ってるなら……俺……」
<誤解している葉、心配そうに、真剣に話す>

千和(煎条くんが私を……!?)
<ショックを受けている>

千和(……あ! まさか、前に芽生が言ってたのって……)
<ハッとして、やっと思い当たる>

○10話の回想

芽生「なのに……、今でも言えないのに……、ほかの子に取られそうになったらショックなんて……!」

芽生「私、もうなにもなくしたくないのに! 葉も、千和も……」

○回想ここまで

○現在の様子

千和「ご、誤解なの!」
<やっとすべてを知った千和、焦る>

葉「なにが? 弱みを握られてないならなんで?」
<不審そうな顔>

千和「それは……」
<詰まってしまう>

葉「話せないことなのか?」
<心配そう>

千和「……うん。ごめん。これは会長と私の問題だから」
<うつむくが、はっきり言う>

葉「降矢……そうして抱え込むなよ」
<心配そう>

千和「そうじゃないの。確かに、スタートは煎条くんが言うように、秘密を守るためだったよ」
<ためらいつつも話す>

葉「それなら……」

千和「でも、無理やり付き合わされてるっていうのは違う! 私の意思で付き合ってるの!」
<顔を上げ、きっぱり言う>

葉「降矢……」
<驚く>

千和「晴陽は違うかもしれないけど……、秘密のことがあるからかもしれないけど……」
<少しためらいつつ>

千和「私は晴陽と一緒にいるのを楽しいって思ってるし、義務感なんて感じてない!」
<ぐっと力を込めて、心から言う>

葉「……!」
<目を見張る>

千和「だからごめん……、煎条くんとは」
<申し訳なさそうに、はっきり断ろうとする>

○晴陽の声がかかる

晴陽「千和」
<硬い声>

千和、葉「!!」
<ハッとして振り向く二人>

○晴陽がつかつかと近寄ってくる

晴陽「これはどういうことだ? 煎条」
<睨むような鋭い視線で葉を見る>

葉「……会長」
<ひるんだような様子>

晴陽「お前、自分がなにを言ったのかわかってんのか」
<吐き捨てるように>

葉「俺は……、ただ降矢が心配で」
<おろおろする>

晴陽「そうだとしても、それは千和が考えて決めることだろ! 中途半端にしか知らないくせに、思い込みで口をきくな!」
<一喝する>

葉「……っ!」
<ぐっと息を呑み、一歩下がる>

千和「は、晴陽! 煎条くんは私を気遣って……」
<慌てて割り込もうとする>
<フォローするように言う>

晴陽「千和は黙ってろ。俺が千和を脅して付き合わせてるなんて侮辱されたら……」
<鋭い声>
<怒りがこもっている>

千和「やめて!」
<悲鳴のように鋭く言う>

晴陽「……千和」
<ハッとした様子になる>

千和「もういいでしょう!? 私はもう答えたよ! 晴陽と無理やり付き合ってるわけじゃないし、煎条くんの気持ちには応えられない! これ以上なにがあるの!?」
<必死に説明し、主張する>

葉「……降矢。……ごめん」
<目を見張った葉、顔を歪めて謝る>

晴陽「……チッ。わかったよ。行くぞ、千和」
<顔を歪めて、一応引く>
<千和をうながす>

葉「あ、あの」
<おろおろしつつ、声をかけてくる>

晴陽「煎条。お前の思い込み行動は役員として不適切だ。明日、始末書を書いてもらう」
<振り向き、冷たい目で言う>

葉「……っ」
<悔しそうに息を呑む>

千和「晴陽……」
<戸惑いつつ晴陽を見る>

晴陽「行くぞ」
<冷たく言い、うながす>

○二人になる

千和「晴陽……! 待って!」
<一歩先を行く晴陽になんとか追いつこうとする>
<必死な様子>

晴陽「……悪い。つい、かっとしたんだ」
<立ち止まり、千和と向き合う>
<すまなさそうに言う>

千和「……ううん。私を心配して来てくれたんだよね?」
<向き合ってくれてほっとした>

晴陽「ああ。お前と煎条が連れ立って歩いてくのが見えて……それで」
<気まずそう>

千和「そっか……」
<納得>

晴陽「あのさ、千和」
<思いつめたような声で言い、千和に腕を伸ばして抱きしめる>

千和「わ……」
<驚く、晴陽にしっかり抱きしめられてしまう>

晴陽「俺と無理やり付き合ってるんじゃない、っていうのは本当か?」
<真剣な声で聞いてくる>

千和「……! あ、あれは、その」
<どきっとする>
<どもってしまう>

晴陽「どうなんだ? とっさに出た言い訳なのか」
<問い詰めてくる>

千和「そうじゃ……」
<おろおろと>

晴陽「千和。こっち見て」
<手を持ち上げ、千和の頬に触れる>
<自分を見させる>

千和「ひゃ……!」
<視線が合い、赤くなってしまう>

晴陽「知りたいんだ。今、お前がどういうつもりで俺と付き合ってくれてるのか」
<千和の頬に触れたまま、真剣に見つめる>

千和「晴陽……。……うん、本当……だよ」
<ごくっと喉を鳴らす>
<恥ずかしいけれど、思い切って肯定する>

晴陽「それは、俺の都合いいように解釈しても……いいのか?」
<少しためらいながら、確認するように>

千和「わ、わからないよ……晴陽といると楽しいし、どきどきするけどそれも嫌じゃないし……」
<視線が泳ぐ>
<一生懸命考え、説明しようとする>

晴陽「うん」
<ただそれを聞く>

千和「それに……、漫画のためかな、って感じると、たまにもやもやしちゃう……」
<ちょっと辛そう>

晴陽「千和」
<目を丸くする>

千和「だ、だからね、よくわかんないんだけど、でも私は」
<視線を上げ、言いかける>

晴陽「……好きだ」
<ぼそっと言う>

千和「……え」
<目を見開く>

晴陽「俺は千和が好きだ。大好きだ」
<千和を見つめ、はっきり、真剣に>

千和「え、……え」
<おろおろしてしまう>

晴陽「スタートが秘密保持と漫画のためだったのは確かだ。それは煎条に対して言い訳なんてできない。でも」
<真剣なまなざし>

晴陽「今は違う。千和の素顔を見て、一緒に過ごして、彼女でいてくれて本当に幸せだって思う」

晴陽「なんなら秘密がバレたっていい。お前のことを、それ以上に好きになったから」
<真っ直ぐに見つめ、真剣に告白する>

千和「そこ……まで」
<信じられず、呆然と>

晴陽「千和」
<頬に力を込めて、もう少し顔を近付ける>

千和「……晴陽」
<そのまま視線を受け止める>

晴陽「俺の彼女になってほしい。今度は本当の意味で」
<間近で、真剣に告白>

千和「……私……」
<返事をしかけた>

○バタバタ!(大きな足音)

○芽生が息せき切って走ってくる

芽生「千和! 会長!」
<焦った様子>

千和、晴陽「!!」
<驚いて、同時に振り向く>

芽生「お取込み中、すみません! 葉が……」
<はぁはぁと息を切らして、必死な様子>

千和「煎条くんが……?」
<不思議そうに聞く>

芽生「……っ、倒れてきた展示物で……、頭を打って……!」
<泣いている>
<不安げな様子で必死に説明する>

晴陽「……なんだと」
<さっと顔がこわばる>