翌日の昼過ぎ、駐車場に警備会社の社員が出動し、お客様の誘導が始まった。
サーカス団のテントを張る為、大型重機が入るからだ。

サーカス団とタイアップしている重機会社のようで、あっという間に足場が組まれ、夕方にはオレンジ色の巨大テントが完成した。
更にその奥にサーカス団のメンバーやスタッフが駐留するための仮設住宅まで建設されるようだ。

事務所内で折り込み広告に掲載商品の売り上げデータを確認していると、サーカス団の責任者と団長が挨拶に現れた。
サーカスのパンフレット冊子とクリアファイルやペンライトなど、グッズを手にして。

支店長とエリア統括部長と共に本社代表で挨拶をする。
今週末から半月ほど滞在するらしい。
その後は隣県の茨城県に移動するという。
日本全国転々と移動しながら公演をしているサーカス団らしい。

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ショッピングモール内の中央広場に浴衣ショー用のランウェイを作る作業を手伝い、その後にマネキンに着せる浴衣を選び、退勤カードを読み取ったのが午前1時過ぎ。

店舗内は照明が落とされ、従業員用の通路も心なしか薄暗い。
従業員出入り口から外に出て、駐車場を突っ切って自家用車がある従業員駐車場へと向かおうとした、その時。
お客様用駐車場に2台の車がぽつんと停車していて、そのボンネットの上に人が立っているように見えた。

「すみませーーーーんっ！！この時間は関係者以外、立ち入り禁止になってまーーすッ！！」

駆け寄りながら大声を出して、注意すると……。

「えっ、何してるんですかっ？！」

ボンネットの上に上半身裸の男性が逆立ちしていた。
慌てて止めて貰おうと近づいた、次の瞬間、自分の目を疑った。

「………ジル？」